遺産分割協議
亡くなった方が遺言書を残していなかった場合や、遺言書があっても、そこに記載のない財産があった場合、相続人全員が話し合いによって誰が何を相続するかを決定していくことになります。
この話し合いのことを「遺産分割協議」と言います。
基本的に遺言書があれば、それが優先され、遺言書に記載されている通りに財産を分けますが、遺産分割協議を行い、相続人全員の合意が得られれば、遺言書の内容や法定相続分と異なる遺産分割をすることも可能になります。
1.遺産分割はお早めに!
遺産分割はいつまでにしなければならないという法的な決まりはありません。遺産分割をするのは、相続人の皆様にとって気が重い場合もあるでしょう。しかし、遺産分割協議が終了していないと、納税などの点で障害となってくることがあります。
例えば、相続の申告期限までに遺産分割が終わり、配偶者に分割された財産がある場合は、配偶者が取得した財産が1億6000万円までか、法定相続分までの相続分に対する相続税は軽減される制度があります。
相続の申告期限までに遺産分割が終わっていない場合でも、3年以内に遺産分割を行った場合は配偶者の税額軽減は認められます(※1)が、実際には後から余分に支払った分が戻ってくるまでは、相続税を前払いする形になります。
(※1「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、遺産分割前でも配偶者の税額控除は認められます。)
手続きをスムーズにするためにも、そして、相続税の申告に間に合わせるためにも、早めに遺産分割をした方がよいでしょう。
2.相続人の中に未成年者がいる場合
相続人の中に未成年者がいる場合は、家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければなりません。
例えば夫が死亡して、その妻と未成年の子が相続人となる場合は、妻と特別代理人が子に代わって遺産分割協議に参加することになります。
母親と子は、遺産分割協議においては利害が対立するため、母親は未成年の子の代理人になることはできないのです。
3.話し合いがまとまらなかったときは・・・
遺産分割協議を行っても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で「遺産分割調停」という手続きをします。
遺産分割調停とは、裁判所の調停委員という第三者が間に入り、話し合いにより解決するものです。
遺産分割調停でも話がまとまらないときは、「遺産分割審判」という手続きに移行します。
裁判官が相続財産について様々な調査をしたうえで、裁判により遺産分割を決めることになりますし、もし審判の結果に不満がある場合は、高等裁判所に不服申立てをすることもできます。